葬儀サポート部会 平成22年11月18日
「喪失体験」 小林 寛子
「葬祭用品から見る業者の役割」 杉浦 正樹
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「喪失体験」 小林 寛子 2011.11.18
カウンセラーでありアートセラピストでもある私は、私自信の肉親の死、またご相談者からのお話を聞き、喪失体験をされた方へのサポートはとても大事なことだと思っています。
インターネットでグリーフケア、グリーフカウンセリングという名で葬儀社検索をすると、ホームページや、ブログでグリーフにについて書かれているのが以前と比べて増えてきています。
そして、ホームページ内のプロフィール等で取得資格は葬祭ディレクターに加え、○○カウンセリング協会○○心理カウンセラーと書いているところも見かけます。
葬儀社の意識が変わってきているように感じます。
グリーフは悲嘆とか喪失という意味合いがあり、「グリーフワーク」は喪失を体験した人がその現実を受け入れて、自分のペースで生きる力を取り戻すまでのプロセス、
「悲嘆の作業」「喪の作業」「悲しみ作業」と呼ばれています。「グリーフケア」は大切な人と死別し、悲嘆に苦しむ人を援助すること「悲嘆の援助」と呼ばれています。
愛する人を亡くした、友達を亡くした、ペットを亡くした、事故で健康ではなくなった、病気で臓器を摘出した、体の一部をなくした、女性であれば子宮や卵巣を摘出したために出産ができなくなった、失恋した、また老いるということも喪失感に入ると思います。
生きている間にはいろいろな喪失体験をしますが、やはり愛する人とのお別れは何よりも辛いです。
事例1
突然お母様が亡くなられ、お父様と姉妹とで葬儀の準備をし、無事に葬儀は終了したけれど、心の中は寂しさでいっぱい。
「父が亡くなればよかった」「父なんていらない、早く死んでしまえばいい」「こんなに悲しいのに、葬儀社はたんたんと話を進め、もう少し気持ちに寄り添って欲しかったのに、してくれなかった」「姉の夢には、母が出てくるのに、私には出てこない」毎日毎日そういう気持ちが出てきて、寂しくて、苦しくてしょうがない。
事例2
夫の両親と、子供たちと3世代同居。仲良く暮らしていたけれど、ある日義父が亡くなった。それまでは、均衡が取れていたけれど、義父が亡くなってから、義母に対する蓋をしていた感情が表れ、過去のいろいろな出来事がよみがえり、この先この義母とつきあっていくのかと思うと気が重くてしょうがない。
事例3
仕事の同僚が突然亡くなった。社内でもよく話をしていただけに悲しみが深く、思い出しては涙が止まらない。ある日その同僚が担当していた会に出席していたら、亡くなった同僚が部屋に入ってきた、やはり会が気になっていたのだと思うと同時に、まだ現生にいて、あちらには行けていないのではないかと気になってしょうがない。同僚の家族は遺骨をお寺に預けたまま、家でお線香もあげていないと聞いているけれど、同僚がかわいそうでしょうがない。
事例のように、愛する人が亡くなった後にいろいろな感情が出てきます。
時には、うつ状態になる方もいて、死を受容するまでには時間がかかります。
私自身、亡くなった友達や恩師のメールを消せない、使われていない携帯番号だけれど消去できずにそのまま残しています。
大きな喪失体験をした場合、それを受容するまでの過程に大きく分けて5段階あると言われています。これは死に向かう人、愛する人やペットを亡くした方両者に当てはまることが多いです。それらは防衛機制から起こるもので、極度に困難な状況に対処するために備わっている精神のメカニズムです。ただし、人によって必ずとは言えず、継続する期間も様々で、順序通りでもなく、同時に現れる場合もあります。
第一段階 否認と孤立
「私のことじゃない、そんなことがあるはずない」
予期しないショッキングな知らせを受けた時にその衝撃を和らげるものとして、この否認が起こり、否認によって自分を落ち着かせ、時間が経つにつれ、別のもっと穏やかな自己防衛を使うようになる。
第二段階 怒り
第一段階の否認を維持できなくなると、怒り・激情・ねたみ、憤慨といった感情がそれに取って代わる。そして必然的に「どうしてわたしなのか」という疑問が頭をもたげる。
この怒りは見当違いのあらゆる方向へ向けられ、あたりかまわず周囲に投影される。
第三段階 取り引き
「避けられない結果」を先にのばすべくなんとか交渉しようとする段階。
なんとか命を長らえようと、神と取り引きをする。
遺族の場合は、罪悪感が生まれ、引きこもりになったりする。
第四段階 抑うつ
手術をしなければならない、再入院をよぎなくされる、今までになかった症状がでていうるなど、身体的、機能的に悪くなり自分で自覚してくる苦痛が表れることで、苦悩や怒りは喪失感に取って代わられる。
反応的な抑うつ(一番目の抑うつ)
身体の外見上、機能上の喪失。この先にもっと多くのものを失うことに耐えなくてはならない。あきらめなくてはならないこと。
準備的な抑うつ(二番目の抑うつ)
過去に失ったことが原因となるのではなく、これから失うことが気がかりになる。この世との永遠の別れのための心の準備をしなくてはならないという深い苦悩がある。
遺族の場合は、癒しを求める感情が強く表れる
第五段階 受容
疲れ切り、たいていは衰弱がひどくなっている。まどろんだり、頻繁に短い眠りを取りたくなる。口を開くのも、体を起こすのもやっとの状態。
受容とは感情がほとんど欠落した状態で、まわりに対する関心が薄れていく。
遺族の場合は、死を受容できると生きていく力となっていく。
上智大学名誉教授のアルフォンス・デーケン先生は、「悲嘆のプロセスの12段階」
「心のケアのあり方10のアプローチ」を言っておられます。
宮城大学看護学部看護学科教授の宮林さちえ先生は、「悲嘆回復ワークショップ」の代表でもあります。宮沢先生は、悲嘆を癒すには努力と長い月日が、(日本人の悲嘆の期間は平均4年半ほどかかる)必要と言っておられます。
また、他の先生は「悲嘆3つのT」
・Tear・・・ 泣いて
・Talk・・・しゃべって
・Time・・・3年かかる
涙も流さず頑張ってはいけません。と言われています。
自殺者も3万人を超える現代は、葬儀後の遺族へのサポートが非常に重要になっています。
魂はどうなっているのか、ちゃんと向こうに行ったのかなどの質問を受けたりしますが、昨今スピリチュアルヒーラーが増加しているので、サイキックリーディングを受けたり、霊視鑑定を受ける方も増加しています。お寺に話を聞いてもらいに行くというのは聞いたことがありません。葬儀社から心のケアへつなぐサポートがあれば、喪失体験があっても
よりよく生きていく力が出てきます。
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「葬祭用品から見る業者の役割」
発表者 株式会社セレマ 杉浦 正樹
本日は、葬儀サポート部会の一員として発表させていただきます。
私のセレマという会社が、葬儀・葬儀業界をサポートする仕事ですので、私共の仕事内容をはじめにお話させていただきます。私共は千葉県・東京都・茨城県の一部をエリアに約25年間葬儀社からのご注文をいただき、葬儀に使用する提灯(門灯)・幕・看板等物品と祭壇・テント等レンタル品も扱い要望に合わせ設置・撤去しております。
本日ここで私は、
・ 設営業者から見たここ近年の葬儀の形
・ 一業者が担う役割とは についてお話させていただきます。
葬儀の形も年々様変わりしております。設立時の25年前には、自宅・集会所・公営斎場での葬儀が主だった。使用される葬儀備品も、以前はご自宅での葬儀であれば、提灯(門灯)・看板・水引・祭壇・テントが主に施工され、全て派手さがあり、祭壇一つ取っても大型祭壇・装飾が多く目立つ物のそのように需要も多くあった。また、ご近所の方も一緒にテントを立ち上げ、野立ての道案内看板も皆で設置するという雰囲気もあった。しかし、ここ数年葬儀施工も公営斎場や葬儀社ホール・貸し式場等にと変化してきている。これは私共の施工件数から見ても自宅葬は全体の1割にも満たなくなっている。公営斎場では以前、斎場内の式場を貸すだけの役割であり、施工業者が祭壇等葬儀備品を自分達で運び入れていたが、今日では既に多くの斎場が祭壇・葬儀備品が備え付けられており、水引幕でさえも今ではほとんど設置することも無くなった。大型の看板もその設置スペースの問題から禁止になり、場所をとらない小型な看板に変り、野立ての道案内看板も公営斎場周辺は設置不可となっている。但し、これが葬儀社ホールになるとやはり祭壇・葬儀備品は備え付けとなるが、入口付近には木製看板・野立ての道案内看板は、葬家名より目立つ自社の宣伝にも近いようなデザインになっている。設置枚数も、10年前では、自宅が分かるようにと4―5枚あれば良かったが、現在のホール葬(特に都市近郊)では、
約30枚近く設置することもある。都市部の条例ではまだ葬儀用野立て看板は違反ではないが、デザインによっては葬儀看板と見られず、宣伝看板と扱われてしまうのではないか心配でもある。以前のように葬儀備品を、葬儀社・喪主親族・隣組等、あれもこれも必要持って来てくれからという派手さが残る葬儀から、近年のあれもこれもいらない最低限あれば良いに変わってきた。このように使用される備品が少なくなれば当然葬儀単価も下り業者にとっても大打撃である。
しかし一般葬儀が縮小されている反面、社葬・合同葬等大規模葬儀は増加している感がある。千葉県では、寺院数(仏教系)が3.183箇所(総務省 統計局 2006年調べ)あり、寺葬では本堂への幕張・床張り等の内飾り、山門から本堂までの通路テント・通路照明等の外飾りの施工も増えている。またホテル葬(お別れ会)・学園葬等件数の増加により、祭壇備品の提供やボードを使用し思い出コーナーを作ることもある。今後はそのような現場仕事をいかに私共にご注文に繋げることができるか大事である。私共はご要望により、ご自宅を始め装飾規模の大きな現場・寺院には下見・打ち合わせに同行し見積りをするが、近頃宗派また葬儀に形式をとらわれなくなったことも葬儀備品が必要なくなってきているのも事実です。これからの業者は葬儀社をサポートするのは当然のことながら、実績を作る・施工技術を取得するのはもちろん、時代を見据えながら古き物は残しつつ、新しき物を敏感に察知取り入れることが大切であろう。これらが近年見られる葬儀備品から見た葬儀の傾向である。
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