日本葬送文化学会 9月定例会
葬儀・儀礼部会 部会発表のご案内
当会が編集した「葬送文化論」17年前の葬儀・儀礼を文章に遺した。 その後の社会は大きな変化を遂げ、葬送だけではなく、社会と家族のあり方、個人の生き方でも大きな変化があった。 この変化は価値観の多様化、個人の自由への寛容、合理性(特に簡略化)の追求、なども大きな要因としてある。 それは多岐にわたる変化であり、事象を一言で説明することを困難にする理由でもある。
この変化を観察するひとつの切り口として、『葬儀社における役割の変化』 という視点で振り返ってみる。当会の会員葬儀社に向けて自由記述式のアンケートを投げかけた。 葬儀社に対して何が求められ、どのように応えてきたのか、将来への展望などを報告する。 また葬儀社在籍の発表者からは、自社での経験からの個別発表も行う。
発表の概要
日時:2010年9月16日(木)18:30開会
会場:東京文化会館 4階 中会議室A
発表者:勝山 西村 阿島 藤岡 三橋 天野
葬儀社に勤務する会員よりの発表
西村:葬儀社の人材と教育について
勝山:とりまく環境の変化について
阿島:葬儀社の役割と使命について
アンケート調査からの報告
三橋:僧侶派遣と葬送の変化について
藤岡:グリーフ・ケアについて
全体をまとめて
天野:現代葬儀の概況について
質疑応答
岩:葬儀後七日毎のお参りの風習が阿島さんの地方(栃木県那須)では残っていると認識していますが、いかがですが。
阿:現在では確認できません。
天:長野県飯田では「おさみしいまいり」がまだ実行されている。これは葬儀後に「おさみしいことで」という言葉を伝えに遺族を訪問すること。
藤:宗教者の役割について調査していないがどうなのか。
勝:宗教者も現状に危機感を感じており、活動を始めている。宗教者が集まり勉強会を開き、一般向けの講演やマスメディアへの発信を始めている。
三:お経をBGMとしてしか認識していない遺族もいる。
天:現在普及している直葬は、かつて(20年以上前)では警察用語であり、当時は「直送」と書いていた。警察の安置所より火葬場への直接の搬送である。現在の直葬では宗教者の立会いのあるケースも多数ある。
八:調査内容が民俗としてのことのみで、寺院・宗教のことに触れようとしていないが何故か。
山:他界観や死のイメージというものは、儀礼プロセスとは別と考えている。別の研究として捕らえたい。(宗教者の役割というテーマ) そして宗教者が行っていたことを、葬儀社が代わってするようになったことも少なくない。葬儀社が命の問題まで扱うようになってきた。グリーフサポートが重要視されているのも、そのような守備範囲の広がりのひとつである。 昔は漠然とした死のイメージや、あの世に送るプロセスがあり、共通観念があった。現在はそのような共通の観念はなく、共感を呼ぶ手段が支持されるようになっている。
色:葬儀社の採用はどのようにしているのか。
勝:聞く力があり、人を癒すことができる人。
阿:社長面接の1時間の対話で最後まで納得できる人。
深:宗教者も交えて調査研究したほうがよいのではないか。(意見)
福:葬儀における関連サービスが広がりを見せており、1980年代からは、仕出料理や司会業など幅広く発展した。今回の調査に年表として何時からどのような業態が発生したか一覧にしてほしい。(意見)
以上