11月 火葬部会発表「年表から読み取れる火葬と火葬場の変遷」

部会長 野崎二三子 

浅香勝輔、杉山昌司、岩ア孝一、木村庄一

和田裕助、寺村公陽、木下光生、多村至恩

須永真紀、半田瑞樹

 
 

 

 

 

 


はじめに

火葬部会では、火葬場の変遷についての概略と火葬が地域にもたらした変化について、発表を行ってきた。今回はこれまでの発表をふまえて、火葬に関する年表を作成し事象を整理することとした。また、そこから読み取れる火葬及び火葬場の姿についても、再考を行うこととした。

 年表の時間軸は、明治時代から今年(平成23)までを対象とした。事柄は、これまで火葬部会の発表及び学会の研修旅行などに限定して作成を行った。あわせて、簡単に、火葬に関連した事象についても記載した。

 

1.火葬場と火葬技術の展開

火葬場の運営:@民営⇒A.行政と連携をとりながら火葬を実施 

            B.行政と連携をとらず、独自に運営⇒事業の拡大

            共通点:古くからその地域で、火葬事業を展開しており、人々に広く認識されている

 

        A公営:「公共の福祉」という前提のもとに、火葬場を運営

            A.民間の火葬場と連携をとりながら、業務を委託

            B.建物や設備を所有しているものの、そのメンテナンスや運営を

              民間に委託する(PFIや特定指定業者など)

            ※現在では、民営の火葬場の数が少なくなり、大半が公営となっている

            ※火葬場を持っていない地域が、火葬場を設置

             また、火葬場を多く有ししていた地域では、火葬場の整理が実施

 

  火葬技術:すでに、広く普及していた技術を、会社のなかに上手く取り入れて、独自の技術を

生み出していった傾向

 

2.火葬がもたらした影響

沖縄・台湾:「装置」としての火葬(洗骨に代わり白骨化を促す・皇民化運動の一環)

→火葬の導入の動機

      ただし、その後、家族の少子化、墓地不足の問題、便利性等の理由から、

           独自の文化を維持しつつも、火葬が広く普及していくのは、両者に共通

          ※台湾では、火葬を前提にした埋葬の法整備を展開し合理性を追求

⇔日本の法整備:今後、増加するであろう被爆者の遺体の扱いなど

        時勢にそった火葬および埋葬に関する法の必要性

        あわせて、火葬をふくめそうした葬儀に携わるすべて

の人たちの安全性の確保の問題を考慮する必要性

  

隠岐:土葬から火葬へ本格的に移行(平成10年以降)

→葬儀場所が、自宅から葬儀会館や火葬場で実施される

       地域でおこなっていた葬儀から、葬儀会社に依頼する葬儀へ

       背景:家族葬の増加、高齢化、便利性⇒葬儀の転換期

おわりに

 年表を作成し、部会で扱ったことに限定した通史を概観してきた。この中で、長期的な考察が必要な項目があるものの、火葬場運営の整理と地域にみられる火葬がもたらした影響について、少なからず明らかにできたと考える。今後は、東北大震災を通してみられた人々の火葬に対する認識や位置づけを含め、現在における土葬と火葬の認識について整理していきたい。

 

以上