日本葬送文化学会 平成23年度5月定例会

 

『行きずりの火葬場で考えること』

講師 日本大学理工学部 前教授 浅香勝輔氏

 

平成23年5月19日(木) 午後6時30分より

東京文化会館 4階中会議室@

 

【講師よりの案内】

 近年、省庁や地方自治体あるいは電鉄系資本から依頼される仕事や職務の傍らで、北関東の火葬場を回ることが多くなった。そのうちに、それらの火葬場からの独特の雰囲気というか、いわば属性らしいものが考察されるようになった。地域の属性というものであろう。と同時にそれをつかみ総括し、研究というカテゴリーでまとめることの難しさも痛感している。今回はその一端を取り上げて論じてみたい。それを臨場感という土台の上に乗せて語ることの難しさにも触れてみたい。

 

 

【講演】

結論を出すことが非常に難しいことと認識し、本日の講演でなにかを決めるようなことはしない。しかし、キーワードを提示することにより、考え方のヒントを紹介してゆきたいとの前置きをいただきました。以下、話題に上がった言葉を箇条書に列記しました。(記録 勝山宏則)

 

 

「火葬場存在の歴史性」

「人口軸地帯の中で」をキーワード

日本国では北緯33度から36度にかけて人口が集中

そのうち13パーセント程度の低地に人は住み火葬場が存在する

「日本史社会問題特殊」

「公共」「行政」が同一視されている

「市民」と「住民」は意味が違う

「介護」と「福祉」も意味が違う

 

通り抜けできさうに空澄んでをり 和田耕三郎

 

火葬場への参加人員の制限について

なぜ全員参加できないのか

施設としての物理的制約や利用条件と葬儀社の誘導

 

火葬場についての研究は歴史的にはっきりしない分野

特に文科系研究者の抱く疑問への哲学的な答えがない

 

立地不明の火葬場が多い(長野の例)

九州は判りやすい場所にある

 

ヨハン・ホイジンガのエッセイ『中世の秋』

廃れた文化を辿ることは盛んな文化を見ることと同じに意義がある

 

学問とは 学ぶ 語源は「まねぶ(真似)」に由来する

学にならない、まだ論だ

「学」と「論」の違い 

語感や語呂も関係する

社会学・環境論など

火葬場とは人にとって「漂泊」ではないか

 

大正7年の宮型霊柩車(大阪)が葬儀・火葬に対するイメージを大きく変えた

呪縛感がある デザインに限界があり、個性を出せない

 

平成の大合併が悪影響を残した

主(核)となるか従となるかによって(編入合併など)

それによって火葬場の意味が変わっていった

 

参考になる市史の紹介

徳島市史(徳島) 岡崎市史(愛知) 加古川市史(兵庫)

 

これからの基準となるであろう火葬場

府中(東京) 箕面(大阪)

 

領域性判断

省察、望見して発表していく

 

(以上)