日本葬送文化学会2011年  4月臨時開催 

2011421日 18:30〜 東京文化会館

 

【開催趣旨】

3月、4月の定例会は中止したものの、3月11日の東日本大震災に関して、会員それぞれの立場からの活動報告を受け、学会としての今後の活動についても討論する場として臨時に開催された。

 

 

 

【内容】

○震災犠牲者への黙祷

 

○会長挨拶(八木澤壯一会長) 今回の震災で犠牲となられた方々がどのように葬られたのか、きちんと記録しておくことが学会として後に残していくべきことがらであるとの話などがあった。

 

○東日本大震災における葬送分野の現況報告(コーディネータ・福田充理事)

1.全霊協による支援状況と岩手の現地状況

・荒木由光さん(有限会社アラキ代表取締役)、荒木大輔さん

全国霊柩自動車協会(全霊協)では岩手県の災害対策本部からの要請を受け、3月17日から25日までに246体の遺体搬送活動を行った。千葉県支部からは5台の搬送車(1台につき担当者2名)を派遣し、3月23日から25日まで3日間にわたって活動に従事した。活動内容は、遺族とともに遺体を火葬場に搬送し、収骨後は避難所などまで遺族を送ることで、業務には普段のようなスーツではなく作業着であたった(対策本部の指示による)。走行距離は1台あたり1日400〜700キロほどだった。

 

2.誠行社の寝台車協力について

・野崎二三子さん(株式会社誠行社代表取締役)、石井範明さん(同専務取締役)

 学会会員である仙台市の株式会社清月記に、誠行社が所有する寝台車1台にて協力した。誠行社自身も計画停電に対応するため、電源の確保を急いでいる。

 

3.茨城、千葉での墓石倒壊状況

・長江曜子さん(聖徳大学短期大学部教授) 震災による墓石の倒壊などの状況調査について報告。被災地だけでなく、遠く離れた地域でも墓石が倒れたり、ずれたりしている。また、墓石の産地・加工場が原発を中心とした避難地域内にあり生産が滞っている。

 

4.江東、江戸川区での建築被害、液状化報告

・岩崎孝一さん(株式会社吾妻設計代表取締役) 江東・浦安エリアにおける液状化被害の状況を報告。上下水道などインフラの復旧が遅れている。

 


5.その他

・勝山宏則さん(大成祭典株式会社代表取締役)、浅井秀明さん(株式会社出雲殿代表取締役) 全互協(全日本冠婚葬祭互助協会)による支援活動について報告。所属する各社が在庫の棺などを拠出、計2万本を送った。全国のブロックごとに人員の派遣も行う。4名を1班として1週間(現地に5日間)派遣し、棺の組み立てやドライアイスの交換、火葬場への遺体搬送などにあたる。4月下旬から6月上旬ごろまで10回の派遣を予定している。(その後、状況が落ち着きを得たため、5月15日までの5班、延べ20名の派遣で終了となった。5月13日追記)

 

 

○日本葬送文化学会としての今後の活動について討論(司会・福田充理事)

被災地の会員を通じて状況の把握に努めるとともに、支援内容を探る。長期的には、犠牲者がどう葬られたのかを調査し、記録しておくことも必要である。

 

・八木澤会長

「学会としては悼む人もなく亡くなっている多くの人に追悼の意味を込めて、今回の災害に過程で、人々がどう葬られているのかを調べて、記録しておくことが必要」

 

・支援活動の内容

 1.ホームページ上で学会として追悼の意を表す

 2.清月記ほかの東北、北関東地域での会員の被災状況を調べる→名簿をもとに連絡を取る

 3.具体的な支援策に関しては、

時間がかかっても火葬場の悉皆調査をして、将来の災害対策に役立てる

三橋さんがグリーフ支援提案や藤井さんからキャンドル活用といった提案

しかし、具体的な支援策は時間経過によって現地のニーズは変わるだろうから、支援に深く関わっている会員の清月記西村さんや阿島さんを通じてヒアリングしていく。

 

以上