12月懇談会 報告
日本葬送文化学会                        日時:平成15年12月16日(火)

                                       於:アルカディア市ヶ谷内会議室

懇談会テーマ    「住」としての葬儀斎場・パネルディスカッション

 

パネラー講師  株式会社 大成祭典     勝山宏則 氏

                株式会社 中央セレモニー  大杉 実 氏

                   株式会社 中原屋      原 敏之 氏

内容概要

1:葬儀斎場の社会的役割り

1:現代葬送の「住」としての斎場

1:時代変化の具体的経緯と将来的予測など

1:実務的業務の中での問題点など・・・

【“葬儀と家”どこで葬式を行うべきか】

       株式会社 大成祭典 勝山宏則 氏 講演

なぜ自宅でなくなりたいのか?

・とはいえ首都圏では特に斎場の利用率が高い(80%以上)

・自宅は狭くて帰れない

・遠くの斎場よりも近くの斎場

・高齢社会が進み亡くなるまで病院にいられなくなる(小谷)

・畳の上で死にたい

・生まれ育った場所への感謝と愛着

・寺院での葬儀スタイルをまねて、葬儀社が斎場をつくりだした

・人工的な都市では深刻な式場不足(北九州、石炭の町)

・30年以上まえに近代的な斎場が沢山つくられていた

葬儀社の典型的な斎場とは?

1階が式場で2階が座敷(おすし屋さんスタイル)もっとも多い

  2階が式場、1階が斎の部屋だと、みんな食事をしていってくれる(大成祭典、希望が丘斎場)

  平屋、ワンフロアが理想

・会葬者が増加傾向の時代には動線が最優先で設計された

・上り専用、下り専用の階段の設置複数の廊下

自宅のような斎場(公益社、高槻市)

自分の家のようなくつろぎを提供

ライフスタイルの変化、高齢者の増加

畳は嫌われ、椅子、立食に変わっていった

業者の罪

なんでもやります ⇒ 参加者不在の葬儀式

参加できる葬儀を演出する
受付け、道案内は手伝わない(お手伝いさんへの説明を重視する)

かつての長老、町会長の役割を代行する

なぜ葬儀をしなくてはいけないのか分からない人も少なくない

形のない仕事なので、サービスの提供者、受益者ともに意識を高く持たないと、葬儀が崩壊する

(当社の社員研修では、仕事の目的意義をひとつひとつ確認している)

【“住”としての葬儀斎場 】  

       株式会社 中原屋 原 敏之 氏 講演

 ・たくさんある葬儀にまつわる「住」の中で、葬祭業の立場から自宅などでの葬儀の例を挙げたいと思います。具体的

 には、自宅を式場にする設営をお話したいと思います。あくまでも当社で施行するやり方です。

ご安置場所

病院等から自宅へ戻った場合は、北枕か西枕にしてご安置します。布団はご自宅で

    ご用意していただきます。前机はご遺体の横か枕元に置きます。

式場とする部屋とスペースの確保

、会葬者が来られる場合は、縁側などの会葬者が靴をはいたまま焼香できるところを選び正面をそこにします。会葬者をあまり呼ばないようでしたら、外を開けることのないように室内で収めるように飾ります。このように状況によって式場正面の向きを決定します。

2、置物や自宅においてある様々なものを片付けます。その際、喪家の立会いのもと、移動します。または、物によっては喪家に片付けていただきます。

  家具などの動かせないものは次に述べる幕張りで隠します。祭壇や生花を入れるスペースをここで確保します。

3、銀敷きを敷き詰め、床や畳が傷や汚れのないようにします。

  ここまでの作業をおよそ30分以内で仕上げます。

4、次に進む、幕張りのために画鋲を使うことの許可を喪家に確認します。

  新築なその場合は六ツ割りとポールを組み、幕を張ります。または屏風やパネルなどを使用します。

幕張り・・・・これは室内を装飾する上でかかせないものです。

1、当社で使用する幕の種類は、白(ポンジ)の12尺(360センチ)の1間(180センチ)と、水引はブルー色が少し入った2.5尺(82センチ)と、喪家の家紋の入った水引2.4尺(79センチ)を主に使い装飾します。

2、最初にすることは、式場の中心を決定することです。簡単なことですが、とても重要なポイントです。一番ありがちな失敗は、天井の電気や、天井の模様に頼って中心だと勝手に思い込み作業を続けますと、左右の幕や装飾がずれ、祭壇がずれ、祭壇を合わせると位牌がずれ、輿がずれ、生花のバランスがとれず、最後には導師の座る位置までずれてしまいます。結局やり直しになってしまいます。こうなってやり直しをしたら、喪家に対して信頼度が落ちます。

最悪です。最初に気がついた時、直せばいいものの何とかごまかそうとするとそうなります。こうなると四苦八苦です。

3、天張りと言いまして、天井に幕を張ります。天井の電気も式場用のライトとして使用できるように電気などをうまくかわしながら張ります。

4、祭壇のバックに幕を張ります。その上部に青色蛍光灯を吊るし、電気装飾をします。その蛍光灯の前に祭壇前の水引を張り、蛍光灯を隠します。

  →ここでの注意は簡単なように見えて、一本の蛍光灯を壁に横に吊るすというのは蛍光灯がひっくりかえってしまい、なかなか難しい点です。

  基本的に式場に張る幕は先ほど申し上げましたが当社では、12尺の1間の大きさを使用しています。12尺という

  ことは360センチですので、折って張る関係上、6尺から12尺まで対応できますので、ほとんどの場所で使用できます。

  →ここでの注意点では、幕の後ろにあるものを把握しながらはらないと、壊したり、破ってしまうので注意です。また脚立を使用していますので、幕の後ろが壁と思っていて手を突くと壁が無かったりもしますので、注意が必要です。

5、焼香所から、祭壇の後ろのバック幕に向かい両サイドの幕を張ります。祭壇価格などに応じて、ヒダをふやし、装飾に手を加えます。

6、水引きは基本的に壇前(祭壇最前列の上)、棺前(棺の上)、焼香前(焼香所の上)に張ります。

7、状況により、幕装飾の手を加える。シャンデリア、包み張り、ブルマーなど種類は様々です。会場が広い場合で生花があまりないようでしたら、幕で広さの調整をする。

8、祭壇を設営した後の棺のご安置場所は祭壇と平行に祭壇の前にご安置いたしますので、病院から自宅に戻りご安置した位置とは変わる。昔は祭壇の後ろのご安置していました。

ポイント1

 ライトアップをする上で、電気業者を呼び外線から電源を取る。テント内の電気はこれを使う。東電の仕事の際は気を

 つける。

ポイント2

 遺族が座布団で座る際は、壁の幕を引っ張り落とすことがありますので、多少下の部分は床から空けておきます。(つ

 んつるてんにする。床より約8センチ位上げる)画鋲はすべて隠し鋲ですので、外からは見えません。コーナー部分は

 耳を多めにとり、下の部分がつらないよ うに気をつけます。画鋲を使用するので、幕を撤収する際に気を付ける。

 
勝山氏よりの資料