第二回 「定 例 総 会」           日本葬送文化学会

日 時:平成15年4月26日 午後6時30分〜  東京文化会館4階大ホール

「平成15年度定時総会」 報告

総 会 次 第

■ 会長挨拶 会長 天野 勲 氏

■ 議長選出・・・釜a田 和田篤泰 氏 (賛成多数) ・・・承認

■ 開 会・・・司会 大成祭典梶@勝山宏則 氏

■ 議案1・・平成14年度活動報告・・・・・・・・(司会)より・・・(賛成多数)・・承認

■ 議案2・・平成14年度会計報告・・・・・・・・(司会)より・・・(賛成多数)・・承認

■ 議案3・・平成15年度活動予定に関する事項・・(司会)より・・・(賛成多数)・・承認

       未定・変更に関しては常任理事会一任・・・・・・・・・・(賛成多数)・・承認

■ 議案4・・平成15年度 収支予算に関する事項・・(司会)より・・(賛成多数)・・承認

        細部の変更に関しては常任理事会一任・・・・・・・・・(賛成多数)・・承認

■ 議案5・・役員改選・人事に関する事項

 平成15年4月10日東京文化会館応接室での常任理事会において合議の上

 1、常任理事退任・・・杉山昌司氏(監査)  稲村吉彦氏(監査)  

              藤井 高氏(会計)  岩崎孝一氏

 2、以下役員留任

  会 長 天野 勲 氏

      浅香勝輔 氏(千葉県 前日本大学 )・・・常任理事代表

      阿島武志 氏(栃木県 笈齠三)・・・・・WEB委員

      勝山宏則 氏(東京都 椛蜷ャ祭典)・・・・WEB委員・会報編集委員

      杉浦昌則 氏(千葉県 潟Zレマ)・・・・・会報編集委員

      大杉実生 氏(東京都 樺央セレモニー)・会計委員

      二村祐輔 氏(東京都 泣Zピア)・・・・・事務局長

      菅原裕典 氏(宮城県 鰍キがわら葬儀社)・東日本担当

      下村 侃 氏(岡山県 鰍「のうえ)・・・・西日本担当

  顧 問 八木澤壮一氏(東京都 共立女子大学)・・・顧問・永久会員

      山床節子 氏(兵庫県 ジャーナリスト)・・顧問

  理 事  柴田先生(ルーテル学院大学名誉教授)

      田中久文先生(日本大学 教授)

      谷 荘吉先生(病院院長)                                

 3、新『常任理事』並び『理事』推薦

   常任理事 推薦(順不同) 荒木由光 氏 (泣Aラキ)監査

                三橋初枝 氏 (褐O風社)

                野崎二三子氏 (叶ス行社)監査

                中島 章 氏 (潟Zレモ・ワールド)

                原 敏之 氏 (樺原屋)

   理  事 推薦(順不同) 山田慎也 氏 (国立歴史民俗博物館)

                上村敏文 氏 (ルーテル学院大学)・以上・(賛成多数)・・承認

■ 議案6・・その他事項 予定議案・・事務局運営についての提案・・・(司会)より

  現状の事務局運営について、「事務局長」が主導的な役割を果たしていくことに対して懸念する会員も

  おられますので今後、現状の事務局改善と各担当専任者への運営委譲をかんがみて、受け渡しのための

  事前準備として、運営分担を「独立」したかたちで進めていきたいという意見が出ました。

  そのため、下記のように活動運営をそれぞれ分担し、今後事務局機能は、それぞれの委員会から要請

  された指定の文書作成や印刷・それらの内容・郵送など事務作業のみを行い、事務局自体の独自の判断や

  示唆、事前の働きかけ、渉外事項などを一切行わないという前提で進めます。

〇例会運営委員会の設置と人選・・毎月の例会(定例会・懇談会など)の準備や予定構築、講師折衝例会 記録など運営に関する関する活動を受け持つ。また本年はテーマにもとづいた『アンケート調査』などを行なう予定ですので、その構築と準備。                  

〇野外研修委員会の設置と人選・・恒例の野外研修の行き先を検討して、実施に向けた事前準備や現地との折衝・渉外を行う。

〇WEB委員会の拡充と人選・・・・ 毎回の活動に関してホームページ上の記載・運営管理を行なう。この報告が今後は毎回例会案内に添付される。

〇会報編集委員会の拡充と人選・・年1回発行の会報誌製作のための委員会。原稿調達や校正・編集に関して独自の運営を図っていく。

これらの詳細活動や運営・また人選に関しては常任理事会の権限にてこれを行う・・(賛成多数)・・承認

各委員会編成について、常任理事会一任する・・・・・・・・・・・・・・・・・・(賛成多数)・・承認

■ その他、提議事項・・・なし

■ 閉 会        

以上の次第で、和田議長のもと、定時総会を終了いたしました。

ここに御報告申し上げます。

 

日 時:平成15年4月26日(土)午後7時30分〜午後8時15分  東京文化会館4階大ホール  
テーマ「葬送の衣食住・海外編 シンガポールとニュージランドの場合」

講 師:小谷みどり氏                

第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部副主任研究員。大阪府生まれ。

奈良女子大大学院修士課程修了(生活設計論・ターミナルライフプランニング・余暇論)

余暇生活開発士。93年ライフデザイン研究所(現 第一生命経済研究所)入社。東京都在住。

人生をどう締めくくるかを生活設計の視点からとらえ、「ターミナルライフプランニング」として提唱する。

編・著書・・「お墓から覗いたニッポン人」(出版 ライフデザイン研究所)

       「世紀末くらしのアプローチ」 「葬儀白書」(出版 鎌倉新書)

       「葬儀屋さんガイド」(出版 婦人生活社) 「お葬式のお値段」(出版 PHP研究所)

       「働く親の子育てヘルプブック」共訳・共編(出版 ベネッセコーポレーション)

       「変わるお葬式、消えるお墓」ー最後まで自分らしくー(出版 岩波書店)

       「おとむらい新世紀」(出版 東京新聞出版局)   他多数。

関心領域について

生活設計論→結婚費用、子供の養育費、出産費などを考えること。また、倒産した際、何を準備しておけばよいのか。例えば雇用保険、資格をとって倒産しても他の会社に転職できる能力を持っておく、などが生活設計論(ライフデザイン)である。

人が死ぬというリスクが、今までの生活設計の視点には入っていなかった。自分の人生をどう締めくくるのかを生活設計で、考えてほしいという視点で研究している。

告知の問題、ホスピス、などを元気な時から考える研究をしている。

葬送の観点で日本の衣・食・住を勉強しているわけではないので知らないので、私自身なじみのある部分でしたらと思いシンガポールとニュージーランドを選んだ。

シンガポールの場合

2000年に1年間、会社を休職してホスピスの調査、研究に行っていた。ホスピスケアをして、亡くなる方は8割いた。

シンガポールは他民族国家で、中華系、マレー系、インド系。それぞれによって、宗教が違うので、葬儀のやり方が変わってくる。

マレー系は、ほぼ100%イスラム教徒である。イスラム教徒同士でないと、結婚できない。

中華系はお年寄りは道教を信じ、中高年は仏教を信じている。エリート層はキリスト教を信じている。

インド系の人達は、ヒンズー教もキリスト教もいる。

それぞれの宗教による葬儀をあげられるようだ。

中華系の方の葬儀は、普段着で参列される。ジーパンにTシャツが一般的である。遺族の方は基本的には上は白、下は黒である。若い女性であると、白いタンクトップの方もいる。

道教の場合に多いが、亡くなった方との関係を表すための札を右肩につけている。

広東省出身の方は、喪主は麻袋を目だけ出しかぶる。他の子供達はコックさんのような帽子をかぶる。

HDBと呼ばれる公団住宅に住まれる方が多い。1Fが“ボイドデッキ”と呼ばれる、スペースになっている。イメージとしては、1Fの地面のところに鉄柱の柱がたくさん立っていて、オープンエアになっている。そこで、結婚式や葬式をする。ほとんどの方は自分の住んでいる団地のオープンスペースのボイドデッキで、葬儀を行う。鉄柱(白い柱)がたくさん立っているので、葬儀がやりにくい。ボイドデッキでやらない場合は、コミュニティーセンターで行い、住宅の前の道路にテントを張って葬儀をしている。ほとんどの方は地元の新聞(ストレートタイムズ)に訃報を出す。(名前も住所も記載する)

“ボイドデッキ”で葬儀を行うのは、中華系の方々だけである。インド系とイスラム教の方は亡くなると遺体をすぐ処理する。

シンガポールは、病院で死亡診断書が出されたら、すぐ火葬・土葬して良いことになっている。イスラム教は肉体はアラーの神からの借り物なので、亡くなったすぐに返すという考えがある。(24時間以内)準備が整え次第、すぐに行う。

セレモニーらしいセレモニーは行わない。

イスラム教徒は必ず土葬である。墓地に女性、子供はいかない、男のみである。これは慣習である。(泣くと魂があの世に行かないという考えがあるらしい)インド系もそうで、火葬すると散骨するのが一般である。

マレー系の方は土葬すると言ったが、今はシンガポールはSARSが流行っていて、亡くなった方は15人ほどいる。SARSで亡くなった場合は、必ず火葬にするという法律ができた。

シンガポールの場合、国のシステム的には思想統一がある。国が決めたことは、絶対である。反対の余地なし。

SARSで亡くなった方の葬儀に行く時は、白マスクに白衣を遺族も含め全員着ている。

中華系は火葬でも、土葬でもどちらでも良い。前述で話したようにボイドデッキで葬儀をしている。1週間も遺体を安置している。

その葬儀の場で、賭けマージャンをすることが、認められている。地元の新聞を見て、集まる。そのマージャンをしている方々は他人である。しかし、その賭けマージャンをしている人達は24時間誰かが寝ずの番をしなければならないので、その遺体の見守りをすることも兼ねている。よって、遺族の方々は知らない人でもきちんと接待したいる。

ボイドデッキでは、火を使っても良い。死者に送るということで、出棺の前にボイドデッキの所で燃やす。(ブラウスや帽子、歯磨きセットなど)墓地で燃やす場合もあるが、今は芝生なので、火気厳禁になっている。よって、最近はボイドデッキで燃やす。

シンガポール人は模型の家を燃やすことが好きである。なぜかと言えば、国民のほとんどが団地に住んでいるので、あの世に行ったら、一戸建ての家に住めるようにと模型を燃やす。また車の税金が高いので、高価なものなのという感覚があり、車のおもちゃ(ベンツなど)を燃やすことがある。今は、パソコンを燃やすようである。その時々によって、価値が変わり、燃やすものも変わるようである。

霊柩車は荷台がガラス張りで、中の棺が丸見えの構造になっている。車の正面には大きな遺影が掲げられる。遺族は霊柩車の後ろについて歩く。

ボイドデッキではジュースくらいである。会葬者から送られた毛布を飾る。

宗教色のある場合は、宗教者がボイドデッキまでやってくる。キリスト教などの場合は、賛美歌をそこで歌う。

祭壇などは無く、シンガポールは暑い国なので、中華系の方はほぼ100%エンバーミングをしている。女性の場合は口に真珠を噛ませる習慣がある。(男性にはない)お金をかけないで行うのが一般である。

ニュージーランドの場合

イギリスからの移民の方が多い。宗教を信じている人が減ってきている。行きつけている教会もない。

無宗教で葬儀を行うことが一般的である。歌をうたう、その歌詞を参列者に配る。(式次第)いろんな曲をかけるが、アメージンググレイスをかけることが多い。よって、音響設備が整っている。

裕福な方が少ないので、ほとんどスーツで参列する方は少ない。もちろん亡くなった方のお付き合いしている方々によるが・・。ジーポンにTシャツ姿が多い。

家で葬儀をする方が多い。祭壇は一切無い。棺を安置して、両脇に花を置くくらいである。キリストの場合は十字架を置くだけで、ホールというのが一般的である。

火葬率が高い。(7・8割)コストの面からも火葬を選ぶ方々が多くなってきている。

遺族は火葬場に付いて行かない。会葬者も葬儀会館に残る。少しお金がある方は、遺族の負担でブランチほどのようなものを参列者に振舞うケース(葬儀社が用意する)がある。それは、裕福な方だけで、一般的には遺体だけが、火葬、墓地に向かい、遺族などは家に帰られる。(火葬場に一緒に遺族は行かない)

後日、又はその日の夕方に親しい方々で、食事会をすることもある。

土葬については、細かい規定があるが、火葬した骨は、害がないので、どう処分しても良いことになっている。散骨で、パウダー状にしてあれば、どこに散骨しても、平気である。(砂浜、ゴルフ場などもOK)それに対しての、反対は起こらない。

火葬場の遺族は付いて行かないので、火葬後パウダー状にされた遺骨はBOXに入れられ、葬儀社が後日火葬場に行ったついでに取りに行き郵送、宅配をする。何年も誰も取りに来ないBOXがいくつもある。

シンガポールもニュージーランドもしょっちゅうお墓参りに行く習慣が無い。シンガポールは清明祭にお墓参りする。一人一人か夫婦なので、“〜家の墓”というのはない。亡くなった方のお墓参りに行く。亡くなった日よりは、誕生日、又は父の日、母の日に行く人が多い。ニュージランドには日本のように、お墓参りの日というのはない。

質疑応答

葬儀の僧侶や神主のような方はいないのですか?

マレー系はイスラム教であるが、僧侶という人はいない。儀式を執り行う人いない。

お寺はない?

火葬が終わったあ後、近所のヒンズー寺院で行う。遺族が何人かで立ち会ってお金をだして、お祈りをしてもらう。ヒンズー寺院にはお祈りしてくれる人がいる。菩提寺というのではない。

写真 ・ ・ 提供 二村祐輔氏

    

           勝山宏則氏                               天野会長

    

          和田 篤泰氏                             会場内の様子

   

         会場内の様子                           会場内の様子

   

      講師 小谷みどり氏  

 

    

   

                     

                           懇親会の様子 (上野駅の横)