日本葬送文化学会

日時:平成15年3月25日火 午後6時30分より

於:東京文化会館 4F 中会議室

3 月 懇 談 会
テーマ@「最新葬祭情報報告」  日本葬送文化学会 事務局長 二村祐輔                                                       (日本葬祭アカデミー教務研究室 / 有限会社セピア 代表取締役)

最近の葬祭に対する一般消費者の視点から、いろいろな対応が発生しています。特定非営利活動法人 日本葬祭情報管理協議会の意図する「葬祭情報」の管理とは何か?またそのような機構の社会的意味や役割と葬祭業界の体質変化など。合わせて、葬祭業界における付帯的企業の変化や最新情報などを事務局担当の立場からプレゼンします。

プレゼン

背景 1、葬儀単価ダウンが風潮となった → 利益減を業者へのしめつけ強化

    2、23区営、東海1丁目に火葬場来年にもオープン

そこで、生花組合(東京)600社の花屋が加盟はこのように考えた。火葬場の運営を請負いたい。葬儀の申し込みもどんどん入ると思っていた。(これは勘違いである)葬儀業へ進出したいと思っているが、その一方で葬儀社から仕事が入らなくなるのは困る。町の花屋が葬儀の受付所にはならないか?

組合内部の結束が大切だ。しかし、組合内では、話がなかなかまとまらない。来年の1月大田区に公営の火葬場、葬祭式場ができた場合、今まで葬祭業でない例えば、生花業(花屋さん)が葬祭業に名乗りを上げた際、消費者に大きなインパクトになる。万が一が起きた場合、今まで葬儀社に相談に行くところを、とりあえず、町の近所の花屋さんに行くというような感覚になるのではないか。

葬祭に関して、消費者が不安に思うことは、亡くなられた方の個人情報や喪主になる方の個人情報の取扱いに対して不安が高まってきている。直接、葬祭業社がしていることではないのですが、例えば、ギフト関係や霊園の営業などから営業があることで、葬祭業者が情報を流しているのではないかと思われているようだ。

葬儀をする上で、個人情報が拡散していくのではないか、と消費者は思うのである。公文書からでもいろいろな情報を入手できる。(本籍、病歴、死亡日時など)

役所の手続きなどはほとんどは、葬儀社のサービスの一環であるので、特に取扱いを重要視しなければならないのではないか。

昨今の葬祭環境から言えば、地域と人脈が希薄な中で葬祭業を営むようになってきたことによって、初対面の葬儀社(中には人材派遣の者かもしれない)に大切な公文書等(個人情報が盛り込まれているいるもの)を渡してしまう。

葬祭情報というのは、担当者が話を聞きながら打ち合わせをするのですから、家庭内部的なことまでも、知り得ることができる。

非営利の活動法人を作り、この葬祭業界における個人のプライバシーが存在しているということの意識付けや、モラルの向上にむけて活動をするNPOを設立するために2月に申請しているので、5月半ばには認証されるであろう。日本葬祭情報管理協議会という名称。

日本葬祭情報管理協議会の役割においては、葬祭企業の方々に個人のプライバシーをどう位置づけ、どう守る事を確立させていくか、というモラル認識をしてもらうということと、実務的に企業が知りえた情報をどう処理していくか、保管をしていくかということが問題になるので、P・I・P(プライベート・インフォメーション・プロテクト)の認証を企業に付与していくことで、個人情報を守る。

企業の現状報告(社内での打ち合わせ内容書、死亡診断書等をどのように取扱いされているか、保管の仕方)をしてもらい、調査を行い、葬祭業務の管理責任者という形で認証し、また責任者という事業所を認証していきたい。

葬祭企業そのものも他社との差別化をする上で、一番の前提になるのではないか。(プライバシーの保護)そして、社内でのモラル向上にもなる。

そのP・I・P説明会を4月24日(木)に決まりではないが、予定という形で行う上で、皆様のご意見をお聞きしたい。

質疑応答

実際に何か問題のような、事件が起こったことはあるのですか?

葬儀後のセールに関して、疑心暗鬼を生じることになる。個人そのものの尊厳が損なわれるのではないか。表立った形では(事件的な事)起きていないと思うが、そういうことを未然に防ぐ意味でも、先に先手を打ってモラルを高めていったらどうかということが投げかけになっている。

その説明会は葬儀会社を対象に行うのですか?

葬祭企業(葬祭関連企業)に対して、資格認定を行うことが大きな目的になっている。個人情報を取り扱う企業という部分で、該当してくる。一般の消費者に対しての投げかけで、葬祭企業の大きな看板にもなるのではないでしょうか?

葬儀社から本来漏れるはずがないということが大前提ですが、今回の前提はそうではないということですが、ならば既存の制度の一つに取り入れるようにして、やる事やるべき事があるのではないかと思う。

業界を上げて技術的向上(メンタルな部分含)を図るということもあるようですが、これがNPOであるというのは一般の方の意見を聞くという大きな受け皿をもちながらのNPOであって、このNPOを構成しているのが全部が全部、葬祭企業であるというのではなくて、むしろ一般の方々の中でどういうことの不安を抱えているかということを協議していくことが前提になっている。一般の方々が持つ意識は訃報を出してもらいたくないとか、会葬礼状に住所を入れてもらいたくないというところにも出てきている。そういった一般の目線に合わせて、葬祭業者は考えていかなくてはならないのではないか。

モラルなのか企業としての資格制度なのか?とりあえず学会としての話ではないですよね?

この学会も含めて、一般の方も含めて、葬祭業界に対する動きが出ていますよ、という報告である。

テーマA「新年度の活動計画についての懇談」

1月の拡大理事会及び懇談会において提言された年間テーマを再検討して、4月からの年間テーマ決定を行います。                                                 

拡大理事会での提言例 

・葬送文化に関わる「衣・食・住」  ・全国の葬祭業、仏教界等への各種アンケート調査  ・現代の『臨終行儀』に関わる徹底検証  ・自然死以外の社会的対応や取組みに関しての調査、提言  ・「人と地球」を元に、葬送形態や主観の現状変化の調査報告  ・近未来の葬送トレンド  ・秋の研修旅行先について(東北 仙台周辺 韓国 プサン 済洲島 その他インドや中国)

 

葬儀というのは、いろいろな文化が混ざっている。葬送文化にかかわる『衣・食・住』は多いのではないか。一柳さんなどの100年史などで勉強していく。古い良いことを知り、研究し、今を知る。 → 温故知新

「住」の部分では住まいはもちろん、住まい以外(斎場等)でも調べてみたい。

「病院における死」というのが今年度の年間テーマであった。

葬送文化にかかわる『衣・食・住』を漠然にするのではなく、衣食住の過去、未来のような感じで細かく考えていってはどうだろうか。

4月の総会までには提案していきたい。というのが事務局の考えです。年間テーマは理事会で決定する。

「衣」の部分では、50年前は紫色でした。最近ではピンクの着物を使うようになってきた。(経帷子)そういうのが何時頃から、なってきたのかを考える。

その時代の「衣・食・住」の文化について、皆さんの知っていることを調べてもらい、文化を見ていく。

具体的な内容については、理事会で、まとめていく。しかし、理事の中だけで決めてしまうと偏るので、皆様からの意見を聞いていきたい。

学会に代わったということで、何をどう変えていくかを考えていかなければならないのではないか。

“自然死”というのは、いろいろなケースがあると思うが、その事実を見て、葬儀機能の癒すという部分では、いかなる機能があるのか。

アンケートと言うの、内容が難しいのではないか。質問項目をかなり厳密にやらないと、統計的な意味を持たなくなる。アンケートに答えてもらう方々の人選もある。

地方の生活文化の中にある葬送の事例を調べてもらうと面白いものが結構ある。一つの事例でいうと、長野県に“灰寄せ”というのがある。今は飲み食いの場所が“灰寄せ”というようになってしまっているが、実際は違って、火葬した後に残った灰を集めて骨瓶に入れることである。そう考えると、その “灰寄せ”というのは火葬が始まる前からのことである。福井でも“灰寄せ”を行うがそこでは、亡くなった人の遺品を焼いてそれをお墓に納め、残った灰を仏壇の香炉に入れて先祖の仲間入りをする。そして、“灰寄せ勤行”というお経をあける。沖縄では香炉は大きく、位牌は小さくということがある。白木の位牌や遺品を焼いて香炉に入れて先祖の仲間入りということもあり、それも“灰寄せ”に通ずるものがある。そういうふうな事例を調べる。 

日本の文化というのは、地方によって違うが、もとは同じであるということが多いのではないか。

一年間のテーマについては、絞って行うのか、それとも間口を広げて調べるのか。それによっては、勉強、研究にせよ、変わるのではないか。

この産業に関わる人にしか知らないことを、絞って“会”として行ったらどうなのか?

葬送文化の「衣・食・住」であると地域性を否定してはならないことであるが、大きく分けての地域性でよいのだが、生活文化の中で成立してきたような事を地域地域でいろいろ比べていくのも勉強になるのではないか。

例えば、「関西は分骨(3寸)をするが、なぜそうするのか」などという細かい部分が皆様の興味のあるところではないか。

それぞれの皆様がもっている、いろいろな疑問を解消していけるような、学会の機能にしていきたい。各自葬送文化をどう感じとっていくか、どう味わっていくかというようなことでやっていきたい。

喧々諤々の発表などをする学会という領域まで達していないので、現時点では本学会としては「いろいろな葬送文化を見ていく」というスタンスが良いような気もする。

4月からは新年度ということで宜しくお願い致します。

次回総会の予定は4月26日(土)午後6:30〜。

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