日本葬送文化学会       2003年2月定例会             

                                                日時:平成15年2月27日  18:30〜

                                                場所:東京文化会館 4F 中会議室

恒例の学士・修士による研究課題プレゼンテーション
今回は、当学会代表理事の浅香先生よりご推薦いただきました、

                                           日本大学理工学部建築科四年生 外角精一郎氏

 

テーマ「横須賀市域における火葬場の都市史的研究」
三浦半島の穏やかな丘陵が、浦賀水道に落ち込むところに横須賀がある。横須賀は中世以来、漁村として名がしれたが、近代に入って帝国海軍の成立とともに、「海軍の町」として発展した。現在も駐留米軍の基地や海上自衛隊の駐屯地として、その系譜を保っている。    

 横須賀の合併・分離という自治体の変遷の中で、現在の横須賀市域となった市町村の明治以降の火葬場の所在を悉皆調査で追ったのが本論文である。

 研究方法は、現地調査・文献調査・資料収集を行い検討・考慮した。また、文献資料の上では、浅香勝輔先生(前・日本大学教授)が所属されている「火葬場敷地願 第十五大区三小区」と題された和とじの薄い冊子を借りて、そこから諸地点を探し出した。 

なぜ、この研究・調査をしたかというと、大学1年に歴史を学んでました。その際、浅香先生に教わりそれ以来、この分野に興味を持ち、論文を書こうと思った。しかし、就職はこの道ではない。      

市域変遷年表

明治22年 3月31日 市制・町村制が施行 横須賀16町と逸見村が横須賀町となる 公郷村・不入斗村・佐野               村・中里村・深田村が豊島村となる。

明治36年10月 1日 豊島村が豊島町となる

明治39年12月15日 横須賀町と豊島村が合併し横須賀町となる

明治40年 2月15日 横須賀町が市制施行により横須賀市となる

昭和 8年 2月15日 衣笠村が横須賀市に合併

昭和 8年 4月 1日 田浦町が横須賀市に合併

昭和12年 4月 1日 久里浜村が横須賀市に合併

昭和18年 4月 1日 浦賀町・北下浦村・武山村・大楠町・長井町・逗子町が横須賀市に合併

昭和25年 7月 1日 逗子町が横須賀市から分離独立

横須賀市における火葬場の変遷

1、既に無くなった火葬場              

  (1)浦郷火葬場   旧田浦町に浦郷火葬場があった。昭和50年代半ばまで操業したが老朽化のため供用廃               止された。

  (2)逸見火葬場   昭和 4年に坂本火葬場が改築竣工と同時に廃止された。

  (3)公郷火葬場   明治13年頃の築造で、豊島村の村有共同火葬場であった。

  (4)野比火葬場   臨時的火葬場。浄土真宗高御蔵王明山最宝寺の境内に火葬場を作った。

2、火葬場跡地の追跡

  浦賀町では西久比里・川間・大坂(高坂の誤りと判定する)・赤池の4ヶ所、大津村では貞昌寺谷、鴨居村では北  方、走水村では伊勢町である。

3、現在も存続している火葬場

  (1)浦賀火葬場   設備面に問題がある火葬場

  (2)中央斎場     旧横須賀町立の共同火葬場として明治22年頃建設された。横須賀市で初めての近代設               備を有した火葬場で、葬祭場も併設している。

中央斎場・浦賀火葬場の稼働状況(平成13年度)

1、施設概要

施 設 名

所 在 地

規 格

中 央 斎 場

横須賀市坂本町6−18 都市ガス炉10基、汚物炉1基

浦 賀 火 葬 場

横須賀市浦賀町2−63 重油炉    4基

2、業務概要

区  分

中央斎場 浦賀火葬場

合  計

市 内 市 外 市 内 市 外
12歳以上 1,776 18 1,361 130 3,285
12歳未満 11 11 23
死   胎 30 41 15 88
小   計 1,817 20 1,413 146 3,396
合   計 1,837 1,559  

3、火葬場月別市内外利用状況

区  分 12歳以上 12歳未満 死 胎 合  計 累 計
市内 市外 市内 市外 市内 市外 市内 市外 月計
平成13年4月 255 11 264 13 277 277
5月 267 14 276 15 291 568
6月 240 11 249 11 260 828
7月 241 15 247 15 262 1,090
8月 259 10 269 11 280 1,370
9月 230 235 242 1,612
10月 257 265 273 1,885
11月 250 18 257 21 278 2,163
12月 261 14 267 16 283 2,446
平成14年1月 295 14 300 15 315 2,761
2月 279 14 11 290 17 307 3,068
3月 303 14 311 17 328 3,396

合  計

3,137 148 22 71 17 3,230 166 3,396 ・・・・・・・
                臓  器 四 肢
                1件 65Kg 11件

質疑応答

市町村などの合併・分離にともない、火葬場も新しくなっていく。

浦賀火葬場はいまだに煙突があり、設備面で問題がある。横須賀は人口42万ほどである。

横須賀市側は古い火葬場を廃止したいという意向だが、地元住民が廃止を反対している。昔とは、住民と市の立場が逆になっている。

休みは友引である。月に6日程。高炉をすべて稼働させず、高炉数の半分ほどの稼働が通常で、住民との取り決めのようなこともある。

横須賀の中央部は中央斎場(坂本)である。

横須賀の葬祭業者はそれぞれ斎場をもっている。中央斎場のみで葬儀を行うわけではない。

浦郷には現在、野焼きの跡は見当たらない。

逸見火葬場は安針塚にあった。

海軍の結核病院であったため、100%火葬であった。昭和42年まで、使っていた。

逗子市では昔から、誠行社を使用していた。

・・事務局より・・

平成15年度の会費をまだお振込み頂いてない会員は、2月末日が最終の締切りとなりますので宜しくお願い致します。また、個人会員(正会員)の企業オーナー様におかれましては、出来る限り会員種別を「法人会員」にご変更頂き、学会運営に際しまして格別のご協力を賜りますよう宜しくお願い致します。

閉会後、懇親会は20名前後のご参加がございました。

 

      

       研究発表中の外角精一郎氏                 会場内様子1

 

      

          会場内様子2                         会場内様子3